Contents
マーケティングフレームワークとは?
マーケティングフレームワークとは、「事象をもれなく・素早く・全体を把握するため」に使用される枠組みです。
マーケティング担当者や営業担当者のお悩みとして、
- 売上が上がらないけど、どこから手を付けたら良いか分からない
- 新商品の販売戦略をどう考えたら良いか分からない
- そもそも今の事業で上手くいかない理由って何だろう?ボトルネックがどこにあるか分析したい
といったことはないでしょうか?
相談する相手がいない場合や、自分が事業の指揮をとって進めていく場合、どう考えたら良いか悩みますよね。
そんな時に強い味方になるのがマーケティングフレームワークです。
マーケティングフレームワークは先人たちの知恵が詰まった考え方の型(道具)です。
料理人がフライパンや包丁を使って美味しい料理を作るように、マーケターにとってマーケティングフレームワークは考える道具になります。
フレームワークを使うことで課題をもれなく素早く全体把握ができ、次の一手を打ち出す手立てとなります。
環境分析に役立つ!マーケティングフレームワーク5選
マーケティングプロセスでまず最初に行う、事実関係を整理し、戦略の方向性を導く環境分析。
今回はその環境分析に役立つマーケティングフレームワークを5つご紹介します。
5つの分析方法はそれぞれ分析する範囲が異なります。
簡単に言うと、PEST分析は大きい世の中の分析、5フォースが業界の分析、3C分析が競合・顧客・自社の分析、バリューチェーン分析が自社の分析です。
そしてこの4つの事実を分析したうえで、戦略に導くのがSWOT分析です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【フレームワーク1】自社が制御できないマクロ環境を分析する『PEST分析』
PEST分析は自社でコントロールできない外部環境要因の分析です。
簡単に言うと世の中の分析をするマーケティングフレームワークです。
- Politics(政治)
- ビジネスを規制する法律や政治動向
- Economy(経済)
- 給与水準、所得変化、為替、金利など
- Society(社会)
- 人口動態、価値観、流行、習慣など
- Technology(技術)
- ビジネスに影響をあたえる技術動向
ビジネスは世の中の影響を強く受けます。
事業の方向性を転換する時、新しい事業をスタートする時、既存事業がうまくいかない時など、中長期的に自社の戦略を考える際にPEST分析は有効なマーケティングフレームワークです。
【フレームワーク2】業界の競争状態を把握するミクロ環境分析『5フォース分析』
5F(ファイブフォース)分析では自社が置かれている業界の競争状態を分析できるフレームワークです。
先ほどのPEST分析は大きな世の中の流れでしたが、ここでは自社が置かれている業界を5つの視点(脅威)で競争状態を把握します。
5フォース分析
- 競合の脅威
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力の脅威
- 買い手の交渉力の脅威
5フォース分析を提唱したマイケル・E・ポーター教授は、業界とは「『互いに代替可能な製品』をつくっている会社集団」と定義しています。
製品やサービスそのものに着目するのではなく、製品やサービスを通して顧客が得られる「価値」に注目して業界を考えるべきであるということです。
例えば外食チェーンが5フォース分析をする場合、外食業界だけを見るのではなく、内食の流れを踏まえコンビニやテイクアウトができるお店、ネットでのお取り寄せ通販も「価値」で共通する部分があります。
【フレームワーク3】競争環境を分析する『3C分析』
3C分析はマッキンゼーの経営コンサルタントだった大前研一氏が提唱した分析方法です。
市場・競合・自社の3つの視点で競争環境を分析し自社が市場にどうアプローチすると成功できるか?のポイントを探すのに便利なフレームワークです。
Customer(市場・顧客)
3C分析では、まず、市場・顧客のニーズを分析します。
ターゲットとなる市場規模や成長性、顧客の購買行動を分析し自社が参入する余地があるか、参入するメリットがあるかを見極めます。
市場分析では先ほどご紹介したマクロ分析とミクロ分析の2つを使うことが多いです。
マクロ分析は自社ではコントロールできない外部環境要因を分析するフレームワークです。
こちらはPEST分析(Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術))のフレームワークを使って考えます。
もう一方のミクロ分析は自社が置かれている業界を把握する環境の分析です。
5F(ファイブフォース)と呼ばれる、5つの力「競合の脅威」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力の脅威」「買い手の交渉力の脅威」の視点で環境を分析します。
Competitor(競合)
次に顧客や商品特性が似ている競合を分析します。
売り上げや社員数、市場シェア、競合の製品やサービスを分析します。
競合のビジネスが成功している要因は?失敗してしまった要因は?顧客のニーズに合わせてどう変化しているのか?等を分析することで自社のマーケティングや立ち位置を整理することができます。
Company(自社)
3C分析の最後は自社分析です。
売上や商品・サービス、販売チャネル、人材、資本などのリソースの強み・弱みを分析します。
競合にあって自社にないものは?自社にあって競合にないものは?市場の中にある自社と競合を一歩引いてみることで戦略を立てKSF(Key Success Factor:成功要因)を発見します。
自社分析をする際は、次に紹介するバリューチェーン分析が役立ちます。
【フレームワーク4】顧客に製品を届けるまでの一連流れから価値を見つける『バリューチェーン分析』
バリューチェーン分析とは、顧客に製品やサービスが届くまでの一連の流れを工程ごとに分けて整理し、どの工程で自社の付加価値が生まれているかを分析するフレームワークです。
工程は直接的な影響を与える購買物流・製造・販売マーケティングといった「主活動」、人事や経理、技術開発などの主活動を支える「支援活動」の2つに大きく分けてそれぞれで考えます。
バリューチェーン分析で大切なことは、事業に関わる全てのものが価値になるということです。
【フレームワーク5】集めた事実を基に戦略に導く『SWOT分析』
SWOT(スウォット)分析は4つに分けて状況を整理するマーケティングフレームワークです。
「内部環境」と「外部環境」の違いは、自社で制御できるか否かです。
内部環境とは自社で制御できるもの、外部環境とは自社で制御できないものになります。
外部環境は、先ほどご紹介したPEST分析や5フォース分析、3C分析を踏まえて自社で制御できないものを機会と脅威に記入していきます。
内部環境は、自社で制御できるものなので、3C分析やバリューチェーン分析で分かった自社の強み・弱みを記入していきます。
『クロスSWOT分析』で市場機会や事業課題を導き戦略を考える
SWOT分析の4つのマスを埋めて事実整理ができたら、今度はその4つマスを掛け合わせてクロスSWOT分析をしていきます。
強み×機会
自社の強みと機会を活用し、事業拡大や成長に導けないかを考えます。
強み×脅威
強みを活かして脅威への対策・回避・攻略をし、機会に活かせないかを考えます。
弱み×機会
機会を活かすために自社の弱みを克服・補強できないかを考えます。
弱み×脅威
自社の弱みを理解し脅威を避け、影響を最小限に出来ないかを考えます。
クロスSWOT分析をしていると気づくのですが、同じ要素でも見方によって強みになったり、弱みになったりする場合があります。
例えば、分かりやすく東京にオフィスがある場合で考えてみましょう。
オフィスが東京にあると交通の便が良く、働くスタッフの募集がしやすいというメリット、家賃が高いため固定費を圧迫するというデメリットの両方があります。
また東京近辺にクライアントが多い場合、すぐに駆け付けることができるのでメリットになりますが、クライアントが東京近辺でなくなるとそのメリットはなくなります。
もし中長期的な戦略で地方やネット通販での営業強化をする場合、メリット部分は薄れ東京にオフィスがあることは固定費用のデメリット(弱み)が大きくなります。
クロスSWOT分析をする際の注意点は、このフレームワークを使って何が知りたいのか?何の目的でこの分析をしているのか?を明確に決めておくことです。
先ほどのオフィスが東京にある点もマーケティングフレームワークを使う目的によって強みと弱みの両方になり得ます。
おわりに
今回は環境分析に役立つフレームワーク5つをご紹介しました。
マーケティングフレームワークは、あくまで考える道具なので、フレームワークを使ったから課題が全て解決することはありません。
ただ、フレームワークを使って考えることで闇雲に悩むことは無くなります。
先人の知恵であるマーケティングフレームワークは知っていて損はないものばかりです。
新しく事業をスタートする時、事業が上手くいかない時は参考にしてみてはいかがでしょうか?
女性向けデザインに強い企画プロデュース会社