『モノ』ではなく『体験』を売るエクスペリエンス・マーケティング

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暑い日差しが降り注ぐ8月の猛暑の中、太陽に一番近い男、福岡支社営業部の長井です。この前の健康診断で192.8センチを叩き出してしまい、『えっ、まだ(身長)伸びているのか』と本気で心配になった福岡支社二年目です。暑さに弱く、営業回りの時は、『太陽キライ』と呟いている冬派の男です。

 

先日、営業回りをしているお昼時に佐賀駅近くにある、『malle』へランチをいただきにいきました。ここは季節の野菜をふんだんに使ったカフェ飯が人気のお店です。佐賀にいた時からなので、もう4年ぐらい通わせていただいております。

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初めて入った時、『大人女性が通うカフェ』という鮮烈なイメージを抱いたことを今でもはっきりと覚えています。シンプルで可愛らしい造りの店内と彩り豊かな美味しいご飯、丁寧でとても親しみの持てるスタッフさんの接客と、ここで過ごす時間はとても貴重で、いつも特別な時間を楽しむことが出来ます。

このmalleさんで私が過ごした時間のように、お客様の経験や体験によって、その後もリピートして通い続けてもらえる、そんな販売手法をご存知でしょうか?

キーワードは、『モノ』ではなく『体験』を売るということです。

『モノ』ではなく『体験』を売るエクスペリエンス・マーケティング。
みなさんは、『エクスペリエンス・マーケティング』というものをご存じでしょうか?Experrience(エクスペリエンス)=『経験・体験・見聞』を売りましょうという手法のことです。

『モノ』ではなく『体験』を売る。先ほどのmalleさんで言えば、もちろん美味しいカフェ飯を食べることが目的ではありますが、malleというおしゃれなカフェで丁寧な接客が売りのスタッフさんとの会話を楽しみながらいただくカフェ飯という『体験』に対して、お金を払っているのです。他のカフェではなく、このmalleというお店でないと意味がない。つまり、エクスペリエンス・マーケティングとは、その体験ができるそのお店でないといけない理由が必要なのです。

さらに分かりやすく、身近な例を元に説明していきましょう。皆さん、スターバックスコーヒーは好きですか?おしゃれな店内に心地よいスローミュージック、ふかふかなソファーにコンセプトにあった一つひとつの小物と多彩なドリンクメニュー、それを提供してくれるパートナーのキラキラした笑顔と人当たりの良い接客、スターバックスコーヒーを紹介する時、たくさんの素晴らしい部分を思い出すことができると思います。

それでは、そんな素晴らしいスターバックスコーヒーのミッション(使命)なるものをご存じでしょうか?おそらく、コーヒーを売っている会社なので『コーヒーを売ること!!』がミッション(使命)じゃないの?と思われた方もいらっしゃると思います。実は、これは半分正解で、スターバックスコーヒーは単に、コーヒーを売っている会社ではないのです。驚きですよね。あんなに美味しいコーヒーや季節毎の新商品、ついつい頼んでしまう甘いフラペチーノが揃っているのに、コーヒーを売ることが目的ではないのです。

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出典: http://www.mai-b.co.jp/lite/rest.html

スターバックスではBHAG※1として、次の言葉を掲げています。『人々の心に活力と栄養を与えるブランドとして世界でもっとも知られ、尊敬される企業になること』
※1.Big Hairy Audacious Goalの略。『社運を賭けた大胆な目標』

美味しいコーヒーと居心地のよい環境を提供することを通じて、『人々の心に活力と栄養を与える』ことが、スターバックスのこの社会における使命なのです。そしてこの企業姿勢が、居心地の良いお店を作り、パートナーの温かな接客を生み出し、価値のある体験を作り出しているのです。

皆様がスターバックスコーヒーに行った時に、お店が混んでいる中でも、参考書を広げ勉強している人やパソコンをカタカタやっている人が居て、迷惑だなと思ったことはありませんか?

なぜ、パートナー達は長時間居座る人を追い出さないのか、不思議に思いませんか?これは、先ほどのBHAGにあるようにスターバックスが単にコーヒーを売っているだけの企業ではなく、学生でもビジネスパーソンでも、スターバックスに来たお客様が、リラックスできたり(活力を得る)、賢くなったり(栄養をとる)すれば、それでいい。それは、確実に世の中のためになっていることだからと使命を全うしようという揺るぎない姿勢があるからなのです。

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出典: http://www.starbucks.co.jp/inspired/

経営面を考えれば、居座る人を少なくして回転率を上げた方が、確実に利益に繋がります。しかし、スターバックスにとって、コーヒーをたくさん売ることが目的ではなく、いかにその空間で価値ある時間を過ごしてもらうのか、そこを重要視しているのです。

価格競争をするのか、それ以外の価値を売るのか

『安売り競争』が激化している中で、競合との価格競争で疲弊している企業や事業はいくらでもあると思います。安売り戦略は諸刃の剣です。最初は良くても、その価格に釣られて客層も価格重視の顧客が増え、他社がさらに割引をすれば、離れていってしまう顧客ばかりです。そうなると、体力のある企業しか生き残ることができません。

そんな綱渡りのような、ギリギリな戦略で、今後も勝負していけますか?みなさまの会社、お店でお客様に提供できる体験、経験はどんなものがありますか?

『エクスペリエス・マーケティング』の観点から、お客様にどうお店と関わってもらいたいのかを考え、それを価値として提供する、そんな考え方を試してみるのはいかがでしょうか。


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